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【鋳物の歴史】No3 我々の歴史~北海道から始まる挑戦の物語~

こんにちは!札幌高級鋳物で修行中の佐々木です。
私は現在、現場での実務経験とあわせて、鋳物に関する歴史や材料、技術について文献を通じて日々学びを深めています。
今回は、その学びの一環として「鋳物の歴史」シリーズの第3弾をお届けします。
これまで世界、日本と鋳物の歩みを振り返ってきましたが、今回はいよいよ私たち札幌高級鋳物株式会社の歴史に迫ります。
創業からの歩み、技術革新の積み重ね、そして新たな挑戦へ――。
北海道の地で受け継がれてきたものづくりの姿を、私なりに整理してご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

創業:戦後復興とともに歩んだ出発点(1949年~)

札幌高級鋳物の歴史は、1949年4月8日にさかのぼります。初代社長・奥田泰は、北海道庁技師としてのキャリアを経て、札幌市菊水北町に「札幌高級鋳物鋳工所」を創業しました。当時の日本は戦後の混乱期。北海道でも産業インフラの再建が急務とされるなか、当社は“鋳物”という技術をもって地域に貢献することを志しました。

その4年後の1953年、法人化により「札幌高級鋳物株式会社」として新たな一歩を踏み出します。技術者としての矜持と、誠実なものづくりが評価され、徐々に取引先と実績を広げていきました。

拡張と飛躍:技術革新の連続(1960年代~2000年代)

1964年には現在地である札幌市西区発寒の札幌鉄工団地に工場を新設・移転。これを機に生産体制は大きく強化され、1970年には高周波誘導炉を備えた特殊鋼専門工場を増設。耐食・耐熱・耐摩耗といった高機能材料への対応が可能となり、精密かつ信頼性の高い鋳造技術を確立しました。

その後も、鋳仕上工場(1993年)や新製鋼工場(1996年)、VRH工場(2001年)の整備を通じて、設備力を高めながら、検査・品質管理にも注力。2000年にはISO9001の認証を取得し、製品品質の安定とトレーサビリティの強化を進めていきました。

また、2009年には経済産業省より「元気なモノづくり中小企業300社」に選出。北海道という地方都市において、鋳物というニッチな分野でありながら、全国レベルの技術力が評価されたことは、当社の誇りでもあります。

挑戦と継承:次なる領域へ(2010年代~現在)

2010年代以降は、非破壊検査機器や模型用RPマシンの導入、アルカリフェノールプロセスへの転換といった技術革新を続けながら、より持続可能で高精度な鋳物づくりを目指してきました。

そして2024年4月18日――当社にとって一つの転機となる出来事がありました。一般消費者向け鋳物製品の第一号、【鋳物スピーカーOKUDAKE】の発表です。これは、鋳物の“重さ”と“硬さ”を音響特性に活かし、洗練されたデザインで仕上げたインテリアオーディオ製品。これまで産業界を支えてきた技術を、一般生活に届ける挑戦を行いました。

鋳物の未来を北海道から

札幌高級鋳物の技術は、ポンプやバルブ、水処理設備、焼却炉、発電所、製紙工場、破砕機といった社会インフラの“要”を支える部品群に結実しています。耐食鋳鋼・耐熱鋳鋼・耐摩耗鋳鋼といった多様な鋼種に対応できる技術力、そして最大高さ1,000mm/長さ1,500mm/重量800kgという柔軟な生産体制を背景に、今日も安定した製品を全国に届けています。

しかし、私たちはそこに留まりません。創業からの精神を継承しつつ、新たな市場、新たな用途、新たな可能性を探求し続けます。北海道から、鋳物の未来を拓く――それが、札幌高級鋳物株式会社の“これから”の歴史です。

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