
特殊鋼ってなんだろう? 〜北海道から全国とつながる、鋳物の仕事の魅力〜
こんにちは!札幌高級鋳物で修行中の佐々木です。
私は現在、日々の業務とあわせて、鋳物や金属材料について勉強を重ねているところです。今回は、特殊鋼というテーマについて学びを深めました。
私たちの会社では、耐摩耗鋼、耐熱鋼、ステンレス(耐食鋼)など、さまざまな特殊鋼を取り扱っており、北海道では数少ないその鋳造を担う鋳物メーカーでもあります。
そんな背景を踏まえて、今回学んだ「特殊鋼って何だろう?」という基本的なところから、現場に関わる中での気づきまでをブログで皆さんに共有したいと思います。
ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
特殊鋼って、どんな鋼?
「特殊鋼」という名前はあまり聞き慣れないかと思いますが、実は明確な定義があります。
鉄にクロム(Cr)やニッケル(Ni)などの合金元素を加えることで、特別な性質を持たせた鋼材のことを指します。たとえば…
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高温に強い → 耐熱鋼
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すり減りにくい → 耐摩耗鋼
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さびにくい → ステンレス鋼(耐食鋼)
…といったように、必要な性能に応じて配合が決まっていくのです。
戸塚覚は『特殊鋼の合金元素と基礎知識』で以下のように述べています。
”クロムを10.5%以上添加すると鋼は耐食性を持ち、ステンレス鋼として分類される”(戸塚 2019:15)
たった数%の元素の違いで、鋼の性格が大きく変わる――まるで“金属のブレンド職人”のような世界です。
札幌高級鋳物は、北海道の「特殊鋳物メーカー」
私たち札幌高級鋳物株式会社は、北海道で数少ない、特殊鋼の鋳造に対応している鋳物メーカーです。
そして、実は300種類以上の材質を取り扱っているというのもあまり知られていないかもしれません。
私も入社前は、「鋳物ってどれも同じ鉄じゃないの?」と思っていました。
ところが、耐摩耗鋼、耐熱鋼、ステンレス鋼など、用途に合わせて微妙な成分調整と鋳造技術が組み合わされていることを知り、まるでレシピの世界のようで驚きました。
しかも、これらの製品の多くは北海道内ではなく、全国の企業やプラントと取引されているというのもポイントです。
北海道にいながら、全国の製造業や社会インフラを支える仕事ができる――これは学生時代には思いもしなかった魅力でした。
合金って、想像以上に奥が深い
たとえば耐熱鋼に使われる**モリブデン(Mo)**という元素は、高温下でも強度を維持する役割があります。
原田幸明は『特殊鋼の合金元素の基礎知識』で以下のように述べています。
”モリブデンは耐熱性の向上に加え、焼戻し脆性を防ぐ効果もあり、NiやCrと組み合わせることで多様な特性が得られる”(原田 2019:6)
一つの材料の背景には、いくつもの技術の層があるのです。その中で、自分たちの鋳造技術が活きていることにやりがいを感じます。
就活生の皆さんへ:北海道から、全国へ
もしこの記事を読んでいるあなたが、就職活動中の学生さんなら、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
札幌高級鋳物では、ものづくりの楽しさだけでなく、北海道にいながら全国規模で活躍できる仕事が待っています。
全国のメーカーや研究機関とやり取りしながら、札幌で技術を磨き、製品で信頼を届ける――それが私たちの仕事です。
しかも、私たちは北海道で数少ない「特殊鋳物メーカー」。つまり、ここにしかない技術・ここでしかできない経験があるということです。
おわりに
特殊鋼は、ただの“強い鉄”ではありません。使う環境や目的に合わせて、素材の中身も形も自在に変化させられる、まさに「金属のオーダーメイド」です。
その奥深さと面白さを、私は日々の仕事と学びの中で少しずつ実感しています。
札幌高級鋳物は、北海道にいながら全国の製造業とつながれる会社です。そして、その中で技術を学び、自分の手で価値を届けることができる環境があります。
これからも、学びながら挑戦し続ける日々を発信していきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
専門用語解説
用語 | 説明 |
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特殊鋼 | 合金元素を添加することで特殊な性能(耐熱・耐摩耗・耐食など)を持たせた鋼材。 |
耐熱鋼 | 高温環境下でも強度を維持する鋼材。 |
耐摩耗鋼 | 摩擦や衝撃による摩耗に強い鋼材。 |
ステンレス鋼 | 錆びにくく、主にクロムを多く含む鋼。日用品や機械部品に使用。(耐食鋼) |
合金元素 | 鋼に混ぜて性質を変える金属(Ni、Cr、Moなど)。 |
鋳造 | 溶かした金属を型に流して形をつくる製造技術。 |
出典
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戸塚覚『特殊鋼の合金元素と基礎知識』(2019年 一般社団法人特殊鋼倶楽部)
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原田幸明『特殊鋼の合金元素と基礎知識』(2019年 一般社団法人特殊鋼倶楽部)