BLOG

昔の刀鍛冶はどうやって鋼を作った?たたら製鉄と鍛錬の技術を解説

こんにちは!札幌高級鋳物で修行中の佐々木です。
先日投稿したTikTok動画が、たくさんの方にご覧いただき、再生数はなんと12万回を突破しました!
たくさんの反響をいただき、本当にありがとうございます。

コメント欄では、刀鍛冶や昔の鉄づくりについて、興味深いご質問をいくつもいただきました。

「昔の刀鍛冶はどうしたんですか?」
「昔の人って凄いなぁ」
「溶かす事は厳しかったので、たたらで還元したスポンジ状の鋼を叩いて圧着してました。炭素が多い銑鉄は1200度くらいで溶けるので、たたらでスポンジ状に固まった状態で還元されて出て来ます。」
「鍛造ですな」

今回は、このご質問にお答えする形で、「昔の刀鍛冶はどうやって鋼を作っていたのか?」について、わかりやすく解説します。

刀鍛冶の仕事は「鍛錬」が中心で、弊社が行っている「鋳造」ではなく、むしろ「鍛造」に近い技術です。
では具体的に、昔の刀鍛冶はどうやって鋼を作り、日本刀を仕上げていたのでしょうか?

① たたら製鉄で「玉鋼(たまはがね)」を作る

昔の刀鍛冶が使った鋼は、「たたら製鉄」によって生み出されました。

工程の流れ

  1. 砂鉄と木炭を交互に装入
    炉に砂鉄と木炭を層状に積み、送風で高温(約1200℃)に加熱します。

  2. ケラ(鉄塊)の生成
    還元反応によって、炉の底にスポンジ状の鉄の塊(ケラ)ができます。

  3. 玉鋼の選別
    ケラの中でも高品質な部分を「玉鋼」と呼び、日本刀の素材に使いました。

この工程では、鉄を完全に溶かすのではなく、還元された鉄をスポンジ状で取り出すのが特徴です。

② 鍛錬(たんれん)で鋼を仕上げる

刀鍛冶は、玉鋼を高温に熱し、叩いて折り返す「鍛錬」を繰り返します。

鍛錬の目的

  • 不純物を取り除く
  • 鋼の組織を均一化する
  • 強度と靭性を向上させる

さらに、硬い鋼と柔らかい鋼を組み合わせる「合わせ鍛え」を行うことで、「よく切れて折れにくい日本刀」が生まれました。

まとめ

  • 刀鍛冶は鋳造ではなく鍛造を行っていた

  • 砂鉄と木炭を使った「たたら製鉄」で**玉鋼(たまはがね)**を作り出した

  • 玉鋼を折り返し鍛錬することで、不純物を取り除き、強度と靭性を高めた鋼を生成

  • 鍛造と熱処理の技術で、高品質な鋼材を生み出していた

昔の刀鍛冶は、限られた設備と素材の中で、より良い鋼を作り出すための知恵と技術を駆使していました。
私たち札幌高級鋳物は、現代では電気炉や高周波誘導炉などの設備を使い、300種類以上の材質を扱うことで、昔の職人たちが求めた「理想の鋼づくり」を科学的に実現しています。

「より良い鋼をつくる」という想いは、昔の刀鍛冶から現代のものづくりまで、変わることはありません。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
今回の記事はTikTokのコメントから生まれた内容です。
今後も皆さんからの質問にブログでお答えしていきますので、ぜひコメントやフォローもお待ちしています!

BACK TO LISTS