
謎の道具の正体は?溶湯の温度測定機械だった!
こんにちは!札幌高級鋳物で修行中の佐々木です。
私は今、現場での経験とあわせて、鋳物づくりに関する知識を日々学びながら、
金属と向き合うものづくりの奥深さを実感しています。
工場見学や研修で工場内を歩いていると、
ずっと気になっていたものがあります。
炉の近くや取鍋のそば、通路の脇など、
なぜか同じような“棒”が、工場のあちこちに置いてある。

正直、最初は
「これ、なんだろう……チュロスみたいだなあ」
くらいにしか思っていませんでした。
でも、研修が進む中でその正体を知ってびっくり。
実はこれ、溶けた金属(溶湯)の温度を測るための“使い切り温度計”だったのです!!
今回は、そんな
「謎の棒がそこら中にあって気になっていた」
というところから始まった疑問をきっかけに、
温度測定カップ(消耗型熱電対)について、
仕組みや実際の使われ方までを、やさしくまとめてみました。
温度測定カップとは?
温度測定カップは、溶けた金属(溶湯)の温度を測るための道具です。
鋳物づくりでは、
「どんな材料を使うか」だけでなく、
「どの温度で扱うか」が、製品の品質に大きく影響します。
そのため、溶解中や鋳込み前など、
さまざまなタイミングで溶湯の温度を確認する必要があります。
その温度管理を支えているのが、この温度測定カップです。
温度はどうやって測っているの?
温度測定には、消耗型熱電対と呼ばれるセンサーが使われています。
一度使ったら交換する、いわゆる「使い切り」の温度センサーです。
仕組みは意外とシンプルで、
熱を電気に変えて温度を測るという方法が使われています。
温度測定の仕組み(ざっくり4ステップ)
① 溶湯にセンサーを浸す
カップやセンサーの先端を、溶けた金属に浸します。
② 熱で電気が発生
センサー内部には、異なる2種類の金属が組み合わされています。
この接点が高温になると、ごく小さな電気信号が発生します。
③ 電気信号を読み取る
発生した電気信号を、測定器が読み取ります。
④ 温度(℃)に変換
電気信号を装置が計算し、
溶湯の温度として数値で表示します。
つまり、
「溶湯の熱 → 電気信号 → 温度」
という流れで温度を測っているわけです。

なぜ、そこまで温度を気にするのか?
鋳物の世界では、
ほんの数十度の違いが、鋳物の出来を左右します。
一方で、長年現場に立っている職人さんは、
「湯の色を見れば、だいたい頃合いがわかる」
と言います。
これは、経験の積み重ねによって身についた“感覚”。
研修で話を聞くたびに、本当にすごい技術だなと感じます。
ただ、その感覚を数値で裏付けることで、
誰が作業しても、安定した品質を保つことができます。
職人さんの目と感覚。
そして、温度というデータ。
この両方を大切にしているのが、札幌高級鋳物の現場です。
実際の現場では、どう使われている?
文章だけだと少しイメージしにくいかもしれませんが、
実際の現場ではこんな感じで温度測定を行っています。
下の動画は、札幌高級鋳物の工場内で、
実際に溶湯の温度を測定している様子です。
間近で見ると、大迫力です。
▶ Instagram動画
こうして、溶解中から鋳込み直前まで、
何度も温度を確認しながら、鋳物づくりが進められています。
工場のいたるところにカップがある理由
溶解部では、材料を混ぜながら温度を何度も確認します。
溶けた金属を取鍋に移してからも、
砂型が置かれている鋳込み場所へ向かう途中で温度を測定します。
場合によっては、
温度調整のためにもみ殻を取鍋に入れることもあります。
こうした確認を繰り返すため、
工場のいたるところに温度測定カップが置かれているのです。

まとめ
工場内でよく見かける温度測定カップ。
最初は「チュロスみたいだな」と思っていたこの道具が、
実は札幌高級鋳物の品質を支える重要な存在だと分かりました。
職人さんの感覚と、温度という数値。
この両輪があるからこそ、
安定した鋳物づくりが成り立っています。
これからも、現場での気づきや、
ものづくりの裏側を佐々木目線で発信していきますので、
ぜひお楽しみに!