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「オシャカになる」の語源は鋳物だった!? ~失敗に宿る職人たちの知恵とユーモア~

こんにちは!札幌高級鋳物で修行中の佐々木です。
私は今、現場での実践と並行して、鋳物にまつわる知識を文献や資料から学びながら日々勉強しています。
今回は、そんな中で出会った“言葉のルーツ”にまつわる興味深いお話をご紹介します。
普段何気なく使っている「オシャカになった」という言葉――実はこの言葉、私たち鋳造業界にルーツがあるといわれているのです!
由来をたどりながら、ものづくりの文化に込められた想いやユーモアをお伝えできたらと思います。ぜひ最後までお読みください。

「オシャカ」は鋳物師が使い始めた言葉だった?

「オシャカになった」とは、「失敗した」「使い物にならない」という意味で使われる表現です。
実はこの言葉、鋳物師の世界から生まれたといわれています。
日本では古くから、大仏などの仏像が鋳物で作られてきました。仏像鋳造はとても難しく、当時は電気炉も温度計もない時代。
鋳物師たちは長年の経験と勘だけを頼りに、高温の金属を操っていたのです。
あるとき、阿弥陀如来像を鋳造した際に、後光を表す「光背(こうはい)」部分まで湯(溶けた金属)が届かず、完成品にはそれが欠けていました。
しかしその像の顔立ちは釈迦如来そのものだったため、職人たちは「これは“お釈迦さま”になったなぁ」と洒落を交えて語ったとされます。
ここから、「おしゃか」が“失敗作”を意味するようになったといわれているのです。

もう一つの説──江戸っ子の「シ」の洒落?

実は、「おしゃか」の語源にはもう一つ有力な説があります。
江戸時代、金属を溶接しようとした際に火力が強すぎて失敗してしまった場面で、「火が強かった」が訛って「シがつよかった」と発音され、それが**お釈迦様の誕生日=4月8日(花祭り)**と結びつき、「おしゃかになった」という洒落になったという説です。
いかにも江戸っ子らしい語感の遊びですね。
この話の真偽はともかく、鋳造において火加減の調整は極めて重要で、強すぎれば焼き付きや吹かれ、弱すぎれば湯回り不良につながるというのは、現代の現場でも変わらない事実です。

現代の鋳造にも「おしゃか」はある?

私たち札幌高級鋳物では、精密な品質管理と最新設備のもと、日々高品質な製品づくりに取り組んでいます。
ですが、どれだけ技術が進歩しても、「完璧な製造」など存在しないというのもまた事実です。
私たちも時には「おしゃか」を出してしまうことがあります。
ですが、それを「失敗」として終わらせず、原因を徹底的に突き止め、次の製品に活かす──その積み重ねが、技術を支えているのだと感じます。

おわりに

「オシャカになる」という言葉には、単なる失敗への皮肉だけではなく、職人たちの知恵とユーモア、そして失敗を恐れず挑戦する姿勢が詰まっているように思います。
私たちは、300種類以上の材質を取り扱いながら、日々金属と真剣に向き合っています。
どんなに注意しても失敗はゼロにはなりません。でも、そこから学び、また前へ進んでいく。
それが、私たち札幌高級鋳物のものづくりの姿勢です。
これからも、こうした“技術の裏側”にある面白さや奥深さを、ブログを通じて皆さんにお届けしていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

出典

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